『いらないものを捨てましょう』という考えを捨てましょう」!
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授・野口 悠紀雄が、『「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す
』と題して、クラウドを活用した現代の検索術、AI活用術
を解説する1冊。
書籍の紹介文
「整理しよう!」と考えた時、あなたは何をしますか?
いらないものの削除?分類?
クラウドサービスを使い、検索して探し出せれば、削除も分類も不要!と筆者は説きます。
本書は、googleサービスを活用した整理法について解説する一冊。
”グーグルドキュメント”・”グーグルフォト”・”グーグルレンズ”の有効な使い方をまとめたのが、本書です。
音声入力、音声読み上げ、画像検索の方法が学べます。
音声入力法によってメモ、文章入力が圧倒的に楽になります。
【要約】15個の抜粋ポイント
❶整理の目的は2つあります。
1つは、資料を保存するためのスペースを確保すること。
もう1つは、必要な資料を探し出せるようにすることです。
これが目的であり、整理することそれ自体が目的ではありません。
❷デジタル情報時代のモットーは、「分類するな。ひたすら検索せよ」です。
❸音声入力は、頭の中を「見える化」する手段になっています。
❹「ポケットがたくさんあっても、すべては使わず、1つのポケットだけを使うべきだ」と私は考えています。
これを「ポケット1つ原則」と呼ぶことにします。
押し出しファイリングは、すべての書類を1カ所にまとめるので、「ポケット1つ原則」を実現しています。
❺キャッシュがいっぱいになってデータを捨てる必要が生じた場合、どのデータを捨てるべきか?
LRU(Leastrecentlyused:最長時間未使用の原理)がその答えです。
使用したデータをリストの先頭に戻せばよいのです。
「最後に使われてから最も長い時間が経ったもの」というほうが分かりやすいでしょう。それを捨てるのです。
これは、MTF(Movetofront:先頭に送る)法と呼ばれます。
❻「キャッシュに新しいデータを加えるとき、それをどこに入れるか?そして、使用したデータは、どこに戻せばよいか?」
使用したデータをリストの先頭に戻せばよいのです。
これは、MTF(Movetofront:先頭に送る)法と呼ばれます。
❼私は、2015年頃から、原稿やメモを書く際に、音声認識を用いてグーグルドキュメントに入力する方式を採用していました。
グーグルドキュメントをメモ帳とすることの明らかな利点は、データがクラウドにあるため、どの端末からもアクセスできることです。
私はこれまで、音声入力で長い文章が書けることに注目していたのですが、それだけではなく、検索に音声入力が使えるというのが重要な点です。
❽写真を保存する「ポケット」は、グーグルフォトだけにするのがよいでしょう。
グーグルフォトでは、つぎの操作によって、写真の容量をゼロにできます。
ウェブブラウザでグーグルフォトを開き、左上の三本線マークから「設定」で「容量解放」を選び、「圧縮」を選択します(なお、圧縮した画像は元に戻せません。また、この処理に長時間が必要です)。
❾グーグルフォトでは、正確な日付さえ分かれば、目的の写真を容易に引き出せます。
つまり日付は、写真の検索における最も重要なキーなのです。
❿音声入力を用いると、この関門を突破することができます。
つまり、「出発」することが簡単にできます。
⓫原稿を作る4つのステップ
(1)メモ入力テーマを決め、思いついたことを音声入力します。
(2)スマートフォンやタブレットで編集ある程度でき上がったところで、スマートフォンやiPadなどのタブレット端末でメモを編集します。
(3)追加メモを入力追加のメモを、スマートフォンから音声入力します。
(4)エディタで編集ある程度でき上がったところで、PCを用いて本格的な編集作業を行います。
⓬グーグルレンズは、識別能力も高いし、データベースも充実しているので、スマートフォン用の画像認識アプリの中で、最強のものと言えるでしょう。
印刷物などのデータをデジタルデータにして保存するのが目的であれば、PDFで保存するのが最も便利でしょう。
したがって、AdobeScanでスキャンしていけばよいでしょう。
⓭本を作る過程を自動化する
①思いついたことを、何でもすぐに音声入力で「超」メモ帳に記録する。
②新聞記事の見出しも、音声入力や写真の形で記録する。
③これらは、「あああ」などのキーワード(第3章の4を参照)で検索できるようにしておく。
④随時これらのメモを参照し、さらに発展させたメモとする。
以上に加え、これを補完するものとして、ツイッターやnoteなどのSNSを利用しています。
まず、思いついたことをツイートします。
そして、一定期間(1カ月ぐらい)ごとに、これらをカテゴリごとにまとめて分類します。
それを、noteの「アイディア農場プロジェクト」にまとめて公表しています。
⓮グーグルレンズの画像認識を用いて、独学を進めることができます。
とくに、外国語の勉強には有用です。
外国語の本をグーグルレンズで撮影して、シームレスで自動翻訳にかけられます。
グーグルレンズを用いれば、グーグル翻訳の読み上げ機能を利用して、音読が聞けます。
左記のQRコードをスマートフォンで読み取ると、動画が見られます。
⓯パスワードの入力が必要になったときには、ノートなどに書いてあるものをグーグルレンズで読みます。
認識してくれたら、「Copytext」のボタンを押してコピーし、パスワードを求められている画面に貼り付けます。
【実践】3個の行動ポイント
✅音声入力でメモ・文章を書く!
✅アイディア農場プロジェクトを実行してみる!
✅パスワード入力にグーグルレンズを使う!
ひと言まとめ
AI三種の神器は、”グーグルドキュメント”・”グーグルフォト”・”グーグルレンズ”!
書籍情報
【書籍名】【著者名】野口 悠紀雄
【出版社】KADOKAWA
【出版日】2019/6/29
【オススメ度】★★★☆☆
【頁 数】
【目 次】
第1章 新しい情報大洪水の到来
1 コンピュータが「眼や耳を持ち」使いやすくなった
コンピュータが使いにくかったのは「能力が劣っていた」から
われわれはいまやカエサルを超えた
眼を持った百科事典が出現
文字を読み取り「あっという間に検索」
人間とコンピュータの境界面が変わった
図表1-1コンピュータの使い方の変遷
2 人間の処理能力を超える情報量
なぜ情報が爆発的に増えているのか?
大量の情報に呑み込まれて有効利用できない
3 基本的な考えを変えれば大きな可能性が開ける
「捨てること」をやめて「検索する」
画像認識をうまく使えば仕事と生活が変わる
図表1-2グーグルレンズの利用可能性
個人情報を知られる問題をどう考えるか?
第2章 情報大洪水時代に必要な「超」整理法の思想
1 分類するな。ひたすら並べよなぜ整理が必要なのか?
ノウハウになっていないノウハウが多すぎる
情報は分類できない「押し出しファイリング」の思想
図表2-1押し出しファイリング
「ポケット1つ原則」を実行する
2 「超」整理法は数学的に最適な方法
最後に使われてから最も長い時間が経ったものを捨てる
使った資料は元に戻さず「先頭に置く」
「いつからある?」よりも「最後に使ったのはいつか?」
3 分類するな。ひたすら検索せよ
GREP検索を用いていた時代
Gメールをアーカイブにする
Gメールの雑音を見事に排除できた
「捨てる」のは事実上不可能な作業になった
グーグルも徹底していない
第3章 AI時代の「超」メモ帳
1 超強力な「超」メモ帳
ファイルの増加に「捨てる作業」が追いつかなくなった
捨てる努力をやめて可能性が一挙に拡大
「超」メモ帳のさまざまな利用法
なぜこれが「AI時代のメモ帳」なのか?
超強力な外部脳の誕生
2 写真の検索システムをついに確立した
写真の保存ポケットはグーグルフォトだけにする
写真の容量をゼロにできる
画像検索能力はまだ不十分
写真を検索する
インデックスを作る
写真データシステムの運用
「紙の書類」「テキストデータ」「写真」の整理原則
図表3-1紙の書類、テキストデータ、写真の整理原則
3 キーワードの設定が肝要
「属性キーワード」を設定する
キーワードが雑音とならぬよう注意
「超メモ帳の分類」と「紙の書類の分類」の違いとは
図表3-2カスケード方式の分類
図表3-3キーワード方式の分類
キーワード方式なら巨大なデータを扱える
ファイルの並べ替えや削除も行う
ファイルを削除することにこだわらない
4 効率的なキーワードを作って「超」メモ帳を管理する
「重要重要重要」は本文には現れない
巨大リンク集でも機能する
目的のファイルを効率的に引き出す
「メタキーワード」メタキーワードの使い方
「アイディア製造工場」の重要な構成要素
「キーワード一覧」ファイルを作る
「使えば使うほど」使いやすくなる
第4章 思考を整理する「超」AI文章法
1 音声認識で文章を書ける
夢の技術が実現した
音声で検索する
音声入力で長い文章を書く
文章を書くスタイルが一変した
いつでもどこでも文章を書ける
2 音声入力機能の使い方特別の準備は必要ない
Siriとグーグルのどちらが優れているか?
3 いつでもどこでもすぐにメモを取る
短期記憶はすぐ消えるので「メモ」が重要
思いついたことをすぐにメモする
歩きながらアイディアを生み出す
「見える化」によって考えの「分量」が分かる
音声入力でメールの下書きを作る
グーグルドキュメントが便利
4 音声入力で本格的な文章を書く
音声入力だけでは完成品にならない
「速く書ける」より「スタートできる」のが重要
頭の中を「見える化」する
5 雑誌や書籍の原稿ができるまで
原稿を作る4つのステップ
厄介な「ドッペルゲンガ・シンドローム」
全体の構成を正しくする適切な「箱」があれば「内容を入れる」のは簡単
「使わずファイル」を作って心理的抵抗を減らす
第5章 AIの眼を持つ百科事典の実力は?
1 「眼のある百科事典」が出現
花の名前をどの程度詳しく教えてくれるか?
グーグルレンズは俳優の顔を認識する
政治家の顔はあまり認識できない
「データベースが重要」ということの意味
カメラを向けるだけで商品情報が集まる
文字認識の応用可能性は広い
2 画像認識アプリの使い方
スマートフォンで画像認識アプリを利用する
動画5-1グーグルレンズを用いて名刺の情報を読み取る
グーグルレンズ以外の画像認識アプリ
第6章 AIを駆使するアイディア製造と独学
1 AIを駆使する「アイディア製造工場プロジェクト」
本を作る過程を自動化するツイッターを利用した「アイディア農場」
アイディア農場からアイディア製造工場へ
時間が経つと別人になってしまう
「別人になった数人の私」が協力して仕事をする
2 途中過程を公開することの意味
「オープンイノベーション」という考え方
3 画像認識で外国語の本を簡単に読める
印刷物を自動翻訳にシームレスにかけられる
分解法で中国語を読む
人類の遺産のすべてを読める
「沈黙していた書物」がつぎつぎにしゃべり出した
4 AIに音読させて「外国語」を勉強する
外国語を勉強する最強の方法
動画6-1ゲーテの『ファウスト』を朗読させる
動画6-2ロシア語の会話で例文を音読させる
5 テキスト化できれば、何でもできる意外と知られていない
「テキストデータの重要性」
頭が痛いPDFの変換と解決するヒント
第7章 インターネットと現実世界の新しいつながり
1 印刷物の「疑似ハイパーリンク化」が可能になる
印刷物からウェブへの誘導が簡単になった
リアルな印刷物の価値が高まる
印刷物がウェブへの入り口になる
日経ARは紙面から動画に誘導
ネットと現実が「シームレス化」する社会
2 クリエイターが自分の存在を知らせる最強の方法
「見てくれる人がいない」は「作らなかった」と同じ
ページに誘導するQRコード入り印刷物を作る
名刺なら受け取ってもらえる
「名刺は保存するもの」という習慣を利用する
リアルな相手に「小さなテレビ受像機」を配る
3 QRコード名刺の作り方
QRコードの作り方
動画7-1QRコードをWordで作成する方法
名刺の作り方
動画7-2QRコード入り名刺の作り方
第8章 AIで事務作業を効率化
1 名刺の整理は難しい
急速に陳腐化し50音別も機能しない名刺情報
グーグルレンズで名刺を認識させる
名簿の「人数が多くなる」と「探すのが難しく」なる
2 AI時代における名刺の「超」整理法
解決のカギは「まとめて写真に撮る」だけ
名簿の作成それ自体が目的ではない
3 新聞記事の整理も難しい
切り抜きの山に悩まされ続けた
記事はウェブにあるが引き出せない
4 音声入力かグーグルレンズで見出しを保存
記事の見出しだけを残す
記事が必要になってから「見出しをテキスト化」
音声入力と写真のどちらが簡単か?
簡単にできないと続かない
「新聞記事の見出しリスト」は「問題発掘リスト」にもなる
記事そのものを写真に残してもよい
目的の文字列だけを認識させる方法
動画8-1グーグルフォトで目的の箇所を認識させる
5 使いやすく安全なパスワード管理
頭が痛いパスワード管理
グーグルレンズでパスワード管理が楽になった
6 画像認識で領収書を整理する
領収書の整理は面倒な作業
非定型文書からのデータ抽出は難しい
数字だけをスプレッドシートにコピーする
第9章 AIはいかなる未来を作るか?
1 人間が知識を持つ必要はなくなるか?
誰もが物識り博士になれる
知識が増えれば創造が容易になる
勉強が容易になり楽しくなる
2 AIの創造は人間の創造と違う
AIは文章を書けるようになっている
人間が文章を書く必要性はなくならない
「マテリアルズ・インフォマティクス」について
過学習への対処では「人間の判断」が重要
過学習を防ぐ方法は「アドホック」
3 ホレイショウよ。感動することはいくらでもある
ビーチ・ボーイズを聞かれてしまった!
知性を持ったスマートフォン?