台湾のいちばんの名物は台湾人である!
隠居歴9年以上・大原扁理が、『いま、台湾で隠居してます ゆるゆるマイノリティライフ』
と題して、台湾での引きこもり生活3年間
を語るエッセイ集。
書籍の紹介文
今の生活、生きづらさを感じてませんか?
もっと適当に生きれたら楽だと思いませんか?
”台湾には月5万円で生きれる物質的な生きやすさがある。
マイノリティに優しく、ゆるい繋がりができやすい土壌があり、精神的にも生きやすい!”
と筆者は説きます。
本書は、東京での隠居生活歴6年の筆者が、
新たなに台湾での3年間の隠居生活を送った経験について解説する一冊。
台湾移住前に必要な準備ができます。
ガイドブックに載っている観光情報では得られない、現地での生活者目線での体験談が楽しめます。
月5万円生活の方法が分かります。
読んだら台湾移住したくなります😃
【要約】15個の抜粋ポイント
❶旅人って不思議なポジションですよね。
いまはそこにいるけれど、明日はいないかもしれない。
コミットしなくていいし、責任もないから、その街のいいところ、刺激的なところだけを見て、食べて遊んで、ああ楽しかったと去っていくこともできる。
出したゴミは現地に置いたまま。
でも旅人だから許される。
旅人である限り、なんかちょっと、その街にはカウントされてない感じがしてしまう。
街を下支えしている、そうした生活のなかにいるほうが、私はそこにいるという感じがするんです。
❷固定費を別にした生活費6162元(2万2184円)
家賃4300元(1万5480円)
水道100元(360円)
電気427元(1538円)
通信費166元(598円)
以上、すべてを合計して11万1155元(4万158円)でした。
というわけで、家賃や往復航空券も含めて、月5万円あれば大丈夫、というのが私の実感です。
❸こうした漢方医や鍼灸院って、台湾では街中で見かけます。
だから台湾の市街地ならどこで隠居しても(いや隠居しなくてもいいんだけど)、近所に必ずある。
かかりつけの漢方医を見つけておくだけで、心強さハンパないです。
保険適用外の外国人である私でも1000円程度で診察してもらえたし、何ならマッサージより安いので、観光客でも気軽に行けそうですよね。
最近はメディカル・ツーリズムという言葉もありますし、台湾リピーターでもう観光しつくした、という方は「中醫」目的の旅行もいいかもしれません。
❹他の人と違ってても、わかりあえないところがあっても、ガッカリしなくなる。
だって、わかりあえないのがデフォルトだから。
「強制的にマイノリティ(言語が不自由な外国人)になる」っていうのは、日本国内にいる日本人にとっては、なかなかできない貴重な体験でした。
わかりあえるって当たり前じゃなくて、ほんとはすごいことなんだって、たまに読み返して思い出すために、ここに書いておく。
❺海外に移住するということは、そこでしか生きられないようになることではありません。
日本でもいいし、海外でもいい。
いざとなったら世界のどこでだって暮らしていく。
住む場所や、やっている仕事に依存しない。
どこに住んでいても、何をしていても、そういう自分でいると、最終的にものすごくラクなんです。
❻出発が決まったら、SNSやスマホアプリで台湾の友達を作っておくとよいと思います。
ちなみにヘテロセクシュアルのみなさんには「Tinder」とかが人気だと思います
❼生きやすさにもいろいろあるけれど、台湾の場合、まず生きていくうえでの指標がたくさんあるのではないかなあ、と思う。
一日の仕事を終えたら、あとは家族や自分、友人との時間を大切にする。
台湾人にとっては、そういうのもまたひとつの大切な形なんですよね。
「お金」だけが人生の基準じゃないとき、他にいくらでも生きていきようがある。
すると、社会に隙間というか余白というか、余裕が生まれます。
台湾では、誰かが必ず助けてくれる。
あと物質的なことでいうと、インフラが整っていて生きやすい。
飲料水、公共WiFi、そして公共の場に必ずある、スマホの充電スポット。
これらぜんぶ、無料で誰でも使えるんです。
それから街なかに座れる場所がすごく多いですね。
台湾社会には、「どんな人も、居ていい存在である」という共通認識のような気分があるんです。
排除されないこと。
これって人間的インフラともいえるんじゃないかな。
❽台湾で、つながりを探し求めてがんばった覚えはない。
私が特別話しかけたくなる明るい人柄ってわけでもない。
さらに、私と「友人未満、他人以上」になったからって、彼らに何かの得があるわけでもない。
おまけに外国人なんて、障がい者や高齢者と並んで、社会で孤立しやすい人たちTOP3じゃないですか。
にもかかわらず!気づけばなんとなくゆるいつながりができている。
だから中国語ができなくて情弱な外国人の私でも、なんとか地域でちゃんと「認識」されてるのです。
「認識」されてなくても、一人で「存在」してるだけなら、たぶん私はできると思うんですけどね。
見かけると、「あ、あの人だ」と思ってもらえる。
見かけないと、「最近あの人、どうしてるかな~」と思ってもらえる(たぶん)。
そんな人たちが近所にたくさんいる。
たかがそんなこと、されどそんなこと。
そんなことが私の海外での隠居生活をほんの少しだけ豊かにし、それに間違いなく支えられ、そして私が人間じゃなくなっていくことを、食い止めてくれていると思うのです。
❾私は国書刊行会から出ている「新しい台湾の文学」のシリーズをいくつか読んでいきました。
台湾の歴史や風土が、どんなふうにそこに暮らす人のアイデンティティのゆらぎや、思考の方程式のようなものを作っているのか、理解するためのとっかかりを与えてくれます。
また、文学作品ではないですが、日本と台湾の関係を知りたいなら、蔡焜燦さんの随筆『台湾人と日本精神』、小林よしのりさんの漫画『台湾論』などがとてもわかりやすいです。
❿私がよく行くのが、東海岸は宜蘭県にあります礁渓温泉。
台北から日帰りでも行けるとあって台北人にも人気ですが、まだ日本人には知名度が高くないのか、日本人を見かけることはあまりありません。
台北駅直結のバスターミナルから、カマランバス(往復189元=約680円)で1時間。
終点が礁渓バスターミナルで、この真裏が温泉公園。公園内には無料の足湯があり、その横には水着着用の温泉プール。
その奥には水着不要の「森林風呂」があります(宜蘭県民以外は入場料120元=432円)。
私はこの「森林風呂」へ一直線、徒歩3分!
無味無臭無色の天然温泉。
炭酸重曹泉、いわゆる美肌の湯というやつで、お湯の中で肌をこするとツルツルするのがわかる。
⓫実際に台湾に来て生活してみると、意外と安くないんだな~、と思う。
というか、高い安いにバラつきがある。
たとえば夜市メシや交通費なんかは、日本よりも格段に安いんです。
では、どういうものが意外と安くないかというと、まことに所帯じみたレポートで申し訳ないが、まず掃除用品。
あとは日常生活のこまごましたものですかね。
台湾は交通費が安い。初乗りはMRT(地下鉄)が20元(72円)、バスが15元(54円)。しかもMRTは悠遊卡(EasyCard)という交通系ICカードを使えば2割引きになるし、バスMRTへの乗り換え時には8元割引になる。
低所得でも移動がしやすくて助かります。
そしてタクシーが初乗り70元(252円)!
あと台北市内の、MRTでアクセスがしにくいところなら、YouBikeという公共レンタサイクルがあるので、これを愛用しています。
ちょっと乗るくらいだと、返却時に料金が「0元」ということもよくあります。
⓬隠居が選んだ外食のあれこれ
❖潤餅──野菜がたくさん摂取できる神B級グルメ 50元程度
温野菜(もやし、にんじん、キャベツ)、菜脯(大根の漬物)、パクチー、ピーナッツの粉と、豆干(豆腐をプレスして固く したもの。押し豆腐)なんかをドカ盛りにし、薄い小麦粉の生地で巻いた、温野菜春巻のような料理。
❖素食便當──少食なので2段階で弁当をやっつける
❖自助餐──好きなものを好きな量だけ 70元(252円)
好きなものを好きなだけ盛って、値段は重さで決まるというバイキング式食堂です。
❖コンビニサラダ──野菜不足の応急処置 55元程度。約200円
❖茶葉蛋──いつでもどこでも台湾煮卵 1個10元(36円)くらい
卵の殻にヒビを入れて、醤油と茶葉と香辛料で煮込んだもの
⓭一般的にいって、銀行口座を開設するのは、本国人よりも外国人のほうがハードルが高いです。
現地の日本人に聞いてみたところ、外国人が銀行口座を開設するのは、基準が年々厳しくなっているが、「兆豊国際商業銀行」という銀行が、わりと条件がゆるいとのことで。
⓮移住するときに迷うのが服装です。
結論からいうと、日本でふつうに着ていた服を、そのまま着ていけます。
量としては、東京で隠居していたときのクローゼットから、冬服を引いた感じでOKでした。
たまに行くのが「NET」というお店。
台湾のガイドブックでも、ご当地プチプラブランドとして紹介されている。
店舗数も圧倒的に多い。
ここは、日本でいうとユニクロ……いやもう少し若めで、GUとH&Mを足したような感じの台湾ブランド。
シンプルでカジュアルな定番モノが必ずあって、さらに季節モノはシーズン後半にいくとどんどん安くなる。
ソング(thong)というのは、Tバックのこと。
で、このソングが、実際はいてみると、酷暑にはむちゃくちゃ機能的なんですよ!
一般的な衣料品店ではほとんど見かけません。私は通販で買うことが多いです。
⓯90日ごとに出入国を繰り返すことになるのですが、90日ごとに来てるのに入国カードには毎回「観光」にチェック。
どんだけ観光すれば気が済むんだと言われてもしかたない。
これがアメリカだったら、即「そんなに頻繁に観光に来るなんて怪しい」と別室に連れていかれるところですが、台湾では入国を止められたことも、怪しまれたことも(いや怪しまれてるかもしれないが)、実は一度もありません。
それは日本人の私だけではないようで、台湾人の友人なんて、3か月どころか毎月のように日本に遊びに行ってるけど、一度も入国拒否されたことはないという。
【実践】3個の行動ポイント
✔️旅行・移住前にSNS、マッチングアプリで台湾の友人を作っておく!
✔️『台湾人と日本精神』、『台湾論』を読む!
✔️台湾でできる仕事を探してみる!
ひと言まとめ
自分の生活スタイルがあれば
隠居はどこででもできる!
書籍情報
【書籍名】いま、台湾で隠居してます
【著者名】大原扁理
【出版社】K&Bパブリッシャーズ
【出版日】2020/12/13
【オススメ度】★★★☆☆
【頁 数】256ページ
【目 次】
はじめに
いま、台湾で隠居してます
第1章 なぜ、台湾で隠居することになったのか
元来、旅行が好きではない
海外移住は選ばれし人だけのもの?
1 台湾に移住する前にやっておきたいこと
移住は3年前から始まっている
とりあえず、海外移住の夢をあきらめる
泊めてくれる友人を作っておく
いつでもどこでも生きられるようにしておく
2 ビザのこと
30歳以下ならとりあえずワーキング・ホリデー
3 お金と保険はどうする
予算と所持金は?
クレジットカードの付帯保険でOK
スマホは絶対にSIMフリー
【コラム】風水で運を鍛えておく
6 台湾へ出発
さよなら、東京成田へ、台湾へ台湾でのファースト・ミッション。
SIMカードを買う
台北市内へ移動して、仮の住まいにチェックイン
第2章 台湾で日常生活を作り上げる
1 家を決めるアパート契約が日本と比べてラクすぎる
神様に引っ越しのごあいさつ
住居に見る台湾人のてきとうさ
2 仕事のことを考える中国語が話せない私ができる仕事って?
3 台湾で暮らしを始める
汎用性のあるアイテムをフル活用して生活を組み立てる
意外と安くないのはなぜなのか
安いからってタクシーに乗ったら隠居がすたる
外国人が銀行口座を開設するのは大変である
4 気候と衣服について
日本の夏服でとりあえずOK
真夏をサバイバルする
カフェやコンビニがゆるい
【コラム】台湾北部の気候
台湾版GU「NET」で定番モノを揃える
日本では着る機会のない、超夏服ファッション
下着もソングという真夏仕様で
気候と国民性の関係
初めての台風
5 食事は外食か、自炊か
はじめは知ってるものだけで食生活を組み立てる
4 住む家を探しておく
ネットやアプリで台湾の友人を作っておく
普段から人助けをしておくと、あとがラク
アパート探しは出発前から始まっている
5 事前に台湾事情を知っておく
中国語は一秒も勉強しませんでした
現地の文学が最高の生活ガイド
台湾はベジタリアン先進国
食の充実と健康の維持を両立させたい
隠居が選んだ外食のあれこれ
潤餅──野菜がたくさん摂取できる神B級グルメ
素食便當──少食なので2段階で弁当をやっつける
自助餐──好きなものを好きな量だけ
コンビニサラダ──野菜不足の応急処置
茶葉蛋──いつでもどこでも台湾煮卵
台湾の水道水は飲料に適しているか
初めての夜市キッチンなくても意地でも自炊
【コラム】有機食材はここで買ってます
6 仕事をする初めての仕事をGET
台湾人のメンタリティ
【コラム】在台日本人に聞いた、日台の違い
第3章 台湾の隠居生活に根が生える
1 ワーホリビザが切れた!
2 1か月の生活費は5万円以下
3 言語の問題中国語が読めないけど読書はしたい
引っ越して3年、最低限の中国語でなんとかやってます
4 日帰り温泉の楽しみ
【コラム】マイフェイバリット美肌の湯
5 街を歩く散歩はマーキングのようなもの
ある日のマーキング
川辺の路上ライブ
ゴミおじいちゃん
おもてなしということ
散歩すると季節迷子になる
豆乳売りの女の子
自由謳歌の樹木たち
散歩のお供にタピオカミルクティー
【コラム】深夜に女の子が一人で表を歩けるほど治安がよい
台湾の路上生活者たち
玉蘭花を買う
台湾では彼女たちもイキイキしている
その後の夜市
【閑話休題】台湾ならではのおみやげ
【コラム】隠居が選んだヴィーガン食品みやげ6選
第4章 台湾で隠居するということ、あるいはマイノリティである、ということ
1 コロナ禍の台湾総統の蔡英文さん
台湾民主主義と李登輝さん
2 日本語世代の人々と出会う
3 名前に執着がない台湾人
4 隠居も病気にかかる
外国人でも行きやすい病院を探して
漢方というクリニック
5 台湾でウツは治るのかレポ
6 私はインスタント言語障がい者
強制的にマイノリティになるという体験
言語障がい者にとって、コミュニケーションは加点式
共同幻想は捨てたほうがラク
7 ご近所づきあい友人未満、他人以上
孤独死
台湾隠居生活、老後どーする?
8 マイノリティと台湾の生きやすさ
人間がまだちゃんと人間であるということ
9 日に日にアホになっていく
私の台湾、あなたの台湾