【書評・要約】[新釈]養生訓 Kindle版【江戸時代の知恵!】

【書評・要約】[新釈]養生訓 Kindle版【江戸時代の知恵!】

【江戸時代の知恵には、いまも通じる健康法が満載だった!】

現代医学とアーユルヴェーダに精通する医師・蓮村 誠が、『[新釈]養生訓』と題して、貝原益軒著の養生訓

を解説する1冊。

書籍の紹介文

あなたは健康なまま長生きしたいですか?

では、どんな人が長生きできるのか?どうすれば長生きできるのか?

山の中で暮らしている人の多くは長生き

元気のある人は長生き

予防こそが最良の健康法、

と筆者は説きます。

本書は、健康で長生きする方法について解説する一冊。

古代中国医学やアーユルヴェーダ(古代インド医学)も知ることができます。

具体的な食事方法から生活習慣や心のもちかたなどが分かります。

【要約】15個の抜粋ポイント

❶人としてこの世を生きるなら、ひとえに天地・父母に孝をつくし、人として守るべき道を進み、義理に従ってできるだけ幸福になり、長生きをして、喜び楽しむことが、ほんとうの人の願いというものです。このようになろうとするのであれば、まずいま述べたことをよく考え、養生の道を学び、わが身を大切にすることです。これが人生でいちばん大切なことです。

❷養生の術は、まず自分のからだをそこなうものをなくすべきです。からだをそこなうものに、内欲と外邪があります。内欲とは、食欲、色欲、睡眠欲、好き勝手に話したいという欲、喜び・怒り・憂い・思い・悲しみ・恐れ・驚きの七つの情の欲のことです。外邪とは、天の四気です。風・寒・暑・湿のことです。内欲をおさえて少なくし、外邪をおそれて防ぎます。こうすれば元気をそこなわず、病気にならずに天寿を全うすることができます。

❸およそ養生の道は、内欲をがまんすることをもととします。このもとをしっかりと行なえば、元気が強くなり、外邪に侵されることもありません。内欲をつつしまずに、元気が弱ければ、外邪に負けてしまい、大病となり天命を全うすることができません。内欲をがまんするのに大切な項目は、飲食を適量にして、過食にならないようにすることです。脾胃を傷つけ、病気を生じるものは食べません。

色欲をつつしんで精力をおしみ、間違ったときに寝ないようにします。過度な睡眠をとらず、長時間座り続けないようにし、ときどきからだを動かして気をめぐらさなくてはいけません。とくに食後は、数百歩歩くようにします。もし食後に長時間座ったままでいたり、眠ってしまったり、以前に食べたものを消化し切る前に早く床に就いて寝てしまうと、からだの中で停滞がおこって病気になり、その状態が長く続くと、元気が出てこないで弱くなってしまいます。

ふだんから、元気を減らすことをおしみ、言葉を少なくして、七つの情をほどほどにするのがよく、とくにその中でも、怒り、悲しみ、憂い、思い、を少なくすることが大切です。欲をおさえ、こころを平穏にし、気をやわらかくして荒くせず、静けさをもって騒がしくせず、こころはつねに和らぎ楽であるべきです。憂いをもち、苦しんではいけません。これはみな、内欲をがまんして、元気を養う道です。

❹からだを大切にし、命を養うために、一字で表せる大切なことがあります。これを実行すれば、長生きして病気になりません。それは「畏」という字です。畏れることはからだを守る心法です。ことごとに細心の注意をはらい、好きにしないようにして、あやまちをおかさないようにし、いつでも自然の道理を畏れ、それにつつしんで従い、人の欲を畏れてつつしんで忍ぶことです。

❺山の中で暮らしている人の多くは長生きです。古書にも「山気は寿多し」とあり、また「寒気は寿」ともいっています。山の中は寒いため、からだの元気を縮めて固め、内側にたもってもらしません。ですから長生きをするのです。暖かい地方は、元気がもれてしまい、内側にたもつことが少ないために短命です。

また、山の中の人は、人とのまじわりが少なく、静かにしているので元気が減らず、すべてにおいて不自由なために、自然と欲が少ないのです。さらに、魚類がめったになく、肉が足りているということはありません。これだから、山の中の人は長生きをするのです。町の中にいて、たくさんの人とまじわり、やることが多いと気が減ってしまいます。海辺の人は、魚肉をいつも多く食べているために、病気が多く短命です。町の中にいても、海辺にいても、欲を少なくして、肉食を少なくすれば、害はないでしょう。

❻唾液はからだのうるおいです。変化して精血(※)となります。草木に樹液がなければ枯れてしまいます。大切なものです。唾液は内臓から口の中に出るものです。大切にして吐いてはいけません。とくに遠くにつばを吐いてはいけません。気が減ってしまいます。唾液は飲み込むようにするべきで、吐いてはいけません。痰は吐くべきで、飲んではいけません。痰があったら、紙で取るべきで、遠くに吐いてはいけません。

❼臍(へそ)から下三寸を丹田といいます。左右の腎臓の動く気はここにあります。ここが人のからだの命の根本がある場所です。気を養う術はつねに腰を正しくすえて、気を丹田におさめ集めて、呼吸を鎮めて荒くせず、事にあたっては、胸の中から微かに気を何度も吐き出して、胸の中に気を集めないようにして、丹田に気を集めます。このようにすれば、気がのぼらず、胸がさわがず、からだにちからが生じます。

❽養生に一つの要訣があります。要訣とは、非常に大切な奥義です。養生を志そうとする人は、これを知って守るべきです。その要訣とは、「少」の一字です。少とは、すべてのことをみな少なくして、多くしないことをいいます。すべてひかえめに、いわば欲を少なくすることをいいます。かならずこれを守るべきです。

「十二少」と名付けられています。食を少なくし、飲むものを少なくし、五つの味の偏りを少なくし、色欲を少なくし、言語を少なくし、事を少なくし、怒りを少なくし、憂いを少なくし、悲しみを少なくし、思いを少なくし、寝ることを少なくするべきです。このようなことを少なくすると、元気が減らず、脾腎を害しません。これが、寿命を全うする道です。

❾すべての食事は、淡泊であっさりしたものを好むのがよいのです。しつこくて脂っこいものを多く食べるべきではありません。生もの、冷たいもの、かたいものはさけるべきです。吸い物は一品あればよいです。肉も一品でよいです。副菜は一、二品にとどめるのがよいです。肉を二品重ねるべきではありません。また、肉を多く食べてもいけません。生肉を続けて食べてはいけません。滞りやすくなります。吸い物に肉が入っているときは、副菜に肉はないほうがよいのです。

清らかなもの、香りがよいもの、もろくやわらかいもの、味のかるいもの、性のよいもの、この五つのものを好んで食べるようにするべきです。益があり害が少ないからです。これに反するものは食べてはいけません。このことは、中国の書にも書いてあります。

朝と夕に食事をするごとに、はじめの一椀は吸い物ばかりをすすって、副菜を食べないと、ご飯のほんとうの味がわかって美味しいのです。あとで五味の副菜を食べて、気を養うのがよいです。はじめから副菜をまじえて食べると、ご飯のほんとうの味を失ってしまいます。あとで副菜を食べれば、副菜が少なくて足ります。これは、からだを養うのによく、また貧しいときにもよいのです。魚、鳥、野菜などの副菜を多く食べないで、ご飯と吸い物ばかり食べていると、ご飯の味がよく、食事が滞る害がありません。

⓫大根は菜のなかでいちばん上等です。いつも食べるべきです。葉のかたいところを取り除いて、やわらかい葉と根とを味噌でよく煮て食べます。脾を補い、痰をなくし、気を循環させます。大根の生の辛いものを食べると気が減ります。しかし、食滞があるときは、少しくらい食べても害はありません。

⓬男女の交接の周期は、孫思が『千金方』で書いている。「人、二十歳の者は四日に一たび泄らす。三十歳の者は八日に一たび泄らす。四十歳の者は十六日に一たび泄らす。五十歳の者は二十日に一たび泄らす。六十歳の者は性をとじて泄らさず。もし体力さかんならば、一月に一たび泄らす。気力すぐれてさかんなる人、欲念をおさえ、こらえて、久しく泄らさざれば、腫物を生ず。六十を過ぎて、欲念おこらずば、とじて泄らすべからず。若くさかんなる人も、もしよく忍んで、一月に二度泄らして、欲念おこらずば、長生きなるべし」と。

⓭入浴は何度もするべきではありません。からだが温かくなりすぎて、肌の毛穴が開き、汗が出て気が減ってしまいます。古人は「十日に一たび浴す」といっています。うまくいったものです。深いたらいに温かい湯を少し入れて、短い時間入浴するようにします。湯が浅いと、温かくなりすぎず、気を減らしません。たらいが深いと、冷たい風にあたりません。深い温かい湯に長く浸かって、からだを温めすぎてはいけません。からだが熱し、気が上り、汗が出て、気が減ります。とても害があります。また、ひどく熱い湯を、肩や背にたくさんかけてはいけません。

⓮古い言葉に、「病想を作す」というものがあります。その意味は、無病のときに、病気の日の苦しみをつねに想い、風・寒・暑・湿の外邪を防ぎ、酒食、好色の内欲を制して、からだの起臥、動静をつつしめば、病気にならない、ということです。

病気のないときに、あらかじめつつしんでおけば病気になりません。病気になってから、薬を飲んでも、病気は治りにくく、治るのも遅いのです。小欲をつつしまないと大病になります。小欲をつつしむのはたやすいことです。大病になると苦しみも多くなります。前から病気の苦しみを思い描き、後のわざわいをおそれるべきです。

⓯老後は、若いときよりも、一〇倍の速さで月日が経つので、一日を十日とし、十日を百日とし、一月を一年として楽しみ、むだに日を暮らしてはいけません。いつもときや日をおしむようにします。こころを静かに従容として残った月日を楽しみ、怒りをもたず、欲を少なくして、残っているからだを養うようにします。老後は、ただの一日でも楽しまずに虚しく過ごすのはおしむべきです。老後の一日は千金に値します。人の子たるもの、それをこころにかけずにいていいのでしょうか。

【実践】3個の行動ポイント

   ✅小欲をつつしむ。

   ✅食後数百歩歩く。

   ✅日中こまめに動く。

ひと言まとめ

長寿の秘訣は「小」を心がけること!

書籍情報

【書籍名】[新釈]養生訓 Kindle版

【著者名】貝原 益軒  (著), 蓮村 誠 (翻訳)

【出版社】PHP研究所

【出版日】2014/6/13

【オススメ度】★★☆☆☆

【頁 数】321

【目 次】

   はじめに

   巻第一 【総論上】

                      まとめ

   巻第二 【総論下】

                  まとめ

   巻第三【飲食上】

                 まとめ

   巻第四 【飲食下】

       【飲酒】

       【飲茶・喫煙】

       【鎮色欲】

                               まとめ

   巻第五【五官】

      【二便】

      【洗浴】

                           まとめ

             巻第六【慎病】

                          【択医】

                             まとめ

             巻第七【用薬】

                           まとめ 

             巻第八【養老】

                          【育幼】

                          【鍼】

                          【灸】

                            まとめ

             後記

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