【書評・要約】集中力はいらない【もっとだらだらしていい!】

 

 

小説家/工学博士・森 博嗣が、『集中力はいらない』と題して、
昨今の集中力偏重を問題提起し、分散のススメ
を解説する1冊。

 

書籍の紹介文

あなたは、考えてますか?

 

我々はメディア、SNSなどの情報に反応しているに過ぎない。

つまり思考していない!

「集中」とはすなわち、人間に機械のようになれという意味なのだ。
むしろ集中しないことで、機械にはできない人間本来の能力を発揮することもできる。
と筆者は説きます。

本書は、集中と対局にある分散、分散から得られる発想力について解説する一冊。

柔軟な考え方を持てるきっかけができます。

集中のデメリット、思考することのメリットが分かります。

【要約】15個の抜粋ポイント

❶「集中」とはすなわち、人間に機械のようになれという意味なのだ。集中力というと聞こえは良いけれど、言い換えれば「機械力」が相応しい。人間らしさを捨てて、脇目も振らず、にこりともせず作業をしなさい、ということである。

❷まず、あまり緊張しないこと。少し力を抜いた方が良い。緊張というのは、ある方向に対しての緊張ならば、別の方向ではリラックスしているわけで、結果的に、今直面している問題ではない方向のことを発想する場合が多い。

❸大事なことは、まずは観察すること。この観察したものは素直に捉える。自分の目で見たもの、自分が実際に試したものは、見間違いや勘違いがないかぎり正しい。しかし、それを自分の頭にどう入れるのか、という部分では注意が必要で、絶対に鵜呑みにしない、ということだ。

❹冷静さというのは、用意周到な予測によって生まれるものであり、つまり、トラブルを想定し、万が一のときにはどんな手を打つか、という対策を事前に練ってあるからこそ、狼狽せずにすむ、というだけである。

❺作家の仕事で最も重要なことは、「着眼」と「発想」です。つまり、どこに注目するのか、そしてそこから何を思いつくのか、ということ。これらは、どうすればできるかといえば、とにかく、あらゆるものに目を向ける、きょろきょろと見回していること、そして、なにものにも拘らず、自由に素直に考えること、の二点だと思います。その意味では、作家に必要なものは「集中力」ではなく、むしろその逆の能力ではないかと思います』

❻その、どうすれば良いか、という手法が、集中思考の典型です。こうすれば良いという方法を求めようとしていますよね。そういう手法がない点が、分散思考、発散思考の基本です

❼つまり、社会においても、考える人が格段に有利になります。仕事であれば成功するし、周囲からも認められるでしょうから、社会的にも良い立場にたてます。それよりもなにより、自分の好きなことがしやすくなります。自由になれる、といっても良いかもしれません。

❽情報というのは、思考するための「材料」です。材料を加工することが、思考という作業です。加工しないでアウトプットする人は、ただ、情報に反応しているだけです

❾最初に挙げられることは、待ち時間を有効に使える、という点だ。

❿自分がやっていること、自分がしたいこと、そういった主観的な立場や欲望に集中することは、つまり周囲が見えていない状態であり、これではコミュニケーションも浅いものになるし、信頼できる人間だと認められることはない。その意味でも、視点を集中せず、いつも多視点で観察することが重要である。そんな姿勢が、かえって疲れない自然な思考と行動へと導くだろう。

⓫抽象的なものは本質を突いていて、正解に近いものであり、求めるものの正体に近づく指標となる。一方、具体的に示されたものは、単に物体が限定されるだけで、本質でない可能性もあり、もしその個体を見失えば、目標が消えてしまう。まとめると、抽象的は、行動を起こすにはやや困った表現ではあるが、具体的は、必ずしも正解ではない、ということになる。

⓬こうした抽象的思考というのは、発想を生むだけのものではない。応用が利くという点が最大の特徴であり、一つのノウハウ、あるいは複数のノウハウから、普遍的なノウハウを導くことにつながり、他分野における問題を解決するヒントになる。

⓭集中思考をしている人は、自分の好きなものを決めつけ、そればかりを探しているから、どんどん見える範囲が狭くなっていく。深めればそれが専門になることもあるが、その道で大成するには、どこかで大局的な視点を持たなければならなくなるだろう。まして、一般の人であれば、ただ反応するだけに終始し、その対象も自分が好ましいと思うもの、自分が興味があるもの、自分の願望に沿ったものに限られるので、自ずと、発想は生まれず、いつまでも同じ領域でマンネリに陥るだけになる。

分散思考をしている人は、できるだけ対象から離れようとする本能的な方向性を持つようになる。これが、発散思考と呼べるだろう。どうしてそうなるのかといえば、分散思考をしているうちに発想したものが、まるで違う分野、遠い場所からヒントを見つけた結果であり、思わぬ得をした経験が重なるためである。だから、今まで自分が見ていない領域へ足を踏み入れようとする。まだ新しいものがあるはずだ、と常に探している。自分の好き嫌いに関係はないし、また自分の願望あるいは意見にも関わらない。そうではなく、自分が持っている信念を打ち砕くようなものに出会いたいと思っているからだ。

このような姿勢でいれば、自然に、自分と意見が合わない人にも構えずに接するようになるので、差別や区別をしないし、他人を尊重する人格が形成されるはずである。

⓮自分はもっと自由になりたい、と思えば、なんとか成功して社会で認められたい、と夢を描くだろう。成功した人の例を参考にして、同じようにすれば良いのか、とも想像し、憧れが、前例の模倣へとステップアップする。しかし、憧れの人、その人の方法論、というものに集中しているうちは、おそらく成功はありえない。そもそも、何故成功したのかといえば、それはその時代にあって、誰よりも早く新しいものを生み出したからだ。誰も思いもしなかった発想があって、誰も見向きもしなかったものを実行したからである。

まるで一つのことに集中して、一心不乱にやり遂げたように語られることが多いが、実はそうではない。あらゆるものを検討し、既存のものに集中せず、柔軟に対処した結果である。そこにあるのは、集中ではなく、分散だったはずだ。多くを見回し、たまたま見つけたものが育ったのだろう。既にあった問題を解決したのではなく、新しい問題を見つけ、それを解いた結果なのである。

⓯結局、最も簡単にリラックスできるのは、緩急を織り交ぜることだろう。集中して考え、ふとそこから頭を解放する。こうすることが、リラックスを確実に実現できる方法といえる。

⓰世の中には、統計に基づいた研究が多く、そこからこうすればこうなる、という方法論を導こうとするが、それは、そんな傾向が平均的に認められるというだけの意味であって、個々の問題を解決するものではない。つまり、あなたに適用できる保証はまったくない。試してみる価値くらいはあるが、試すまえから、だいたい自分に合いそうかどうかわかるのではないか。

⓱どんなものにも、いろいろな面がある。一方向から眺めているだけでは本質を見極めることはできない。また、見極める必要もない。観察できるものを素直に受け止め、清濁を併せ呑んで理解すれば良い。そのためには、ものごとに集中しない、拘らない、思い込まない、信じ込まない、ということが重要であり、いつもあれこれ考えを巡らす分散思考が少し役に立つ。絶対に役に立つとか、すべてこれでいける、というものではない。それでは、「分散」の意味がなくなってしまう。結論を急がず、頭をリラックスさせる時間を持つことが、まずは分散思考のための畑を耕す作業になる。

すぐに芽が出るものではない。そこはじっくりと、そして優しく眺めて待つしかないだろう。他者に対しても、リラックスして接していれば、小さなことで頭に来ることもないし、また、見えなかった価値にも気づく余裕ができる。そんな姿勢でいれば、なにか気持ちまでゆったりとしてくるので、べつに優れた発想が出てこなくても、穏やかな毎日が送れるかもしれない。

⓲やる気が感情だとは、あまり感じません。やる気というのは、この苦労をすれば、将来きっと楽になる、きっと良いことがある、という推測に基づいた計算です。ようするに理屈というか、論理なのです。とにかく大事なことは、やる気ではなく、やるかやらないかなのです。そして、やるために必要なものは、計画です。計画を立てたら、あとは、監督の自分に叱られつつであっても、嫌々であっても、それをするしかない。この段階に至れば、あとは本当に実行あるのみで、あまり考えなくても良く、悩むことも少なくなりますから、楽なルーチンになるはずです。

さきほど、単純作業は終わりがあるから楽しいと言いましたが、それと同じで、短いスパンの単純作業に落とし込むこと、それが計画です。設計図を描くことが大変ですが、設計図さえあれば、あと必要なのは時間だけなのです。時間は、誰にでもあります。買ったり借りたりはできないので、自分の時間で可能な計画を立てることが重要です』

思考するのが人間であり、思考しているから自分が存在する。逆にいえば、考えないほど人間から遠ざかり、機械に近づく、ということになるかもしれない。

⓴まずは、リラックスして、考え方を柔軟にしていく。ものの見方から改める。もし、行動に移すのならば、毎日コンスタントに、少しずつ進める。これも、分散型の鉄則である。一つに絞らず、なんでも、いくつでも始めれば良い。達成することだけが目標ではない。もっと簡単に言うと、まず変えるべきものは「習慣」だろうと思う。こつこつと、少しずついろいろやることを「習慣」にする、という意味だ。そうすることで、考える習慣ができる。周囲を気にする時間、周囲とのつながりを確認する時間は、今の半分にして、その分を「考える」そして「作る」ために使うことである。こうした習慣こそが、さらに分散思考の頭を少しずつ耕してくれるだろう。

【実践】3個の行動ポイント

✅情報を鵜呑みにしない!
✅リラックスする時間を増やす!
✅がんばらない!

ひと言まとめ

リラックスは発想の母!

 

 

 

 

書籍情報

【書籍名】集中力はいらない
【著者名】森 博嗣
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2018/3/6
【オススメ度】★★☆☆☆
【頁 数】‎ 216ページ
【目 次】
まえがき
落ち着きのない子供だった
だらだらも悪くない
「集中力」を疑う
集中をやめると本来の力が生まれる

第1章 集中しない力
何故、情報が多いと感じるか
情報のシャワーにいかに接するか
SNSは一切やらない
閃きが生まれる環境とは?

発想は集中からは生まれない
情報は鵜呑みにしない
「では、どうすれば良いか?」への答
「冷静」とは何か?
空気を読む人の心理
集中とは「機械のように働く」こと

第2章「集中できない」仕事の悩みに答える
集中は善ではない
作家の頭の中とは?
仕事に没入するスイッチはあるか
やる気はコントロールしない

「監督者」というもう一人の自分
頭を発想しやすい状態にする
多くの人は「反応」しているだけ
作家の情報の接し方
ストックがないから枯渇しない
環境を整えるのは基本

第3章「集中しない」と何故良いか
何故「集中が良い」とされてきたか?
人類の進化に見る「分散」のルーツ
複数のことが同時にできる分散思考のメリットとは?
せっかちを克服する

同時進行の合理性
一つの作品に集中しない
時間の分散が完成度を高める
アクシデントへの対応力
分散が客観的視点を作る

第4章 考える力は「分散」と「発散」から生まれる
「抽象」と「具体」はどう違うか?
何故、抽象的な思考が大切か?
機転が利く人の発想
文系は言葉に頼りすぎる

「考える」ことへの勘違い
リーダとは問題を与える人
成功する人は一つのことに集中しない
研究者と作家の共通点
「個性」はどのように作られるか?

第5章 思考にはリラックスが必要である
リラックスの効能
頭をリラックスさせるには
世の中の常識を疑う
「固有名詞」の功罪

言語化すると失われるものとは
結論を急いではならない

第6章「集中できない」感情の悩みに答える
仕事とライフスタイルを切り離す
何故、くよくよ悩むのか
コンプレクスとどう向き合うか
プライドはどうか?

効率化を図るには?
ネットとのつき合い方
人生をかけたテーマ

第7章 思考がすなわち人間である
「集中」は人間を排除する
人 間不要の時代
自分を縛っているのは自分
習慣を変える思考こそが人格である

あとがき
教育熱心だった母すべてはどちらつかずである

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA