【生きるとは、「面白さ」の追求である!】
作家・森博嗣が、『面白いとは何か? 面白く生きるには?
』と題して、「面白いとはどういう意味なのか」について
を解説する1冊。
書籍の紹介文
あなたは面白いとは何か、わかりますか?
あなたは面白く生きたいですか?
具体的な生き方のノウハウが知りたいですか?
そんなものは役に立たない。
そうなる理由は、「面白さ」が曖昧であり、個人的であり、そもそも抽象的にしか把握できないものだからである。
と筆者は説きます。
本書は、「面白いとはどういう意味なのか」について解説する一冊。
「面白い人生」について、ヒントになるような知見を知ることができます。
「面白く生きる」ことについてが分かります。
【要約】15個の抜粋ポイント
❶まず、僕が一番に思いつく「面白さ」は、別の言葉にすると「新しさ」に近いもののように感じる。今までになかったもの、これまで考えたことがなかったもの、一般的に認識されているところから外れているもの、などである。
❷つまり、好奇心とは自分が「成長」するイメージを伴うものである。この自身の「成長」が「面白い」と感じられるのは、躰を鍛えたり、技を磨くための練習が「面白い」ことにもつながる。いずれ得られる満足を予感させる「面白さ」といえるものだ。
❸さまざまな「面白さ」があって、それに対する最初の反応は異なっているが、最終的にはなんらかの満足が得られる、という共通点がある。「面白い」とは、すなわち「満足できる」ことだからだ。満足とは、求めていたものが得られることであり、自分が思い描いた状況に実際になることだ。
人間の脳は、頭に思い描いたことが現実になることを欲している。他書でも何度も書いていることだが、僕は、この状況を「自由」と定義している。自由とは、「思ったとおりになること」「希望したことが現実になること」なのだ。
自由は、仕事がなくて、ごろごろと寝ている「暇」のことではないし、いつまでも起きなくても良い休日のことでもない。自由は、自分が計画したとおり、自分が予定したとおりに生きることであり、それが人間の満足の根源でもある。したがって、「面白い」というのは、この自由へ向かう方向性を感じている状況であり、いうなれば、いずれ自分は満足するぞ、という予感が、その人を笑顔にさせるのである。
❹脳が「面白い」「面白そう」と感じなければ、それらを得ようと行動を起こさない。それでは、生きていくうえで支障がある。生物の基本的な指向は、「生存」であるから、「面白い」は、実は生きることにリンクしている。「元気が出る」というのも、脳が「面白そう」と感じた状態といえる。したがって、人生をどう歩めば良いのか、どんな生き方が面白いのか、といった方向へ話が及ぶことになる。結局、生きるとは、「面白さ」の追求でもある。
❺「面白い」生き方をするコツは、同様に、自分が「面白い」ことを思いつくことです。それさえ思いつけば、実行あるのみなのです。多くの人が、実行することが難しい、と考えているようですが、それはまったく反対でしょう。実行することは、誰にだってできます。でも、思いつけない、何をしたら良いのかが、わからないのです。ですから、そこを考えることが第一です。
「面白いことがない」という状況は、「面白いことが思いつけない」状況だ、ということです。そして、思いつかなくなってしまったのは、面白さを他者から与えられたり、売っている面白さを買ったりといった生活が続いたからでしょう。与えられたものや、買ったものは、一時的には面白くても、いずれ厭きてしまいます。
❻人から「面白い」とすすめられただけで、「面白さ」がなくなります。「面白い」ものは、自分で見つけるから「面白い」のです。
❼「つまらない」を、早く処理することが、「つまらない」をなくす唯一の方法です。処理するとは、それを片づける、という意味です。
❽Q「面白く生きるうえで、一番大切なことは何でしょうか?」一番といえるかどうかわかりませんが、面白さを自分で模索し、作り出すことでしょうね、たぶん。言葉にすると、そうなりますが、具体的にそれが何かは、各自で探すしかありません。
一番似合う言葉は「発明する」かな、と思います。「面白さ」とは、発明するものでしょう。自分で考えて、これまでになかったものを発想したうえで、実際に自分の手を動かし作ってみることです。考える段階でも、作る段階でも、試行錯誤があり、そのときどき工夫も必要です。
ですから、見つけるだけでもなく、また作り出すだけでも駄目で、その両方を組み合わせたチャレンジがあって、初めて手に入れることができるものだと思います。それから、もう一つ大事なことは、その「面白さ」を好きになることでしょう。好きになれば、多少の苦労はどうってことないし、いつも頭から離れないから、どんどんアイデアも生まれると思います。
さらに、「元気」も、「面白さ」と関連があります。面白ければ、元気が出ます。元気があれば、面白くもなります。これは、生きることが「面白さ」を目的としているからだと思います。
そういう意味では、健康に気をつけることは、条件として挙げられるかもしれません。
❾人生が「面白い」と感じられることを「幸せ」という。つまり、上手く生きられている状況が、「幸せ」と呼ばれるものだ。
❿結局、他者との関係が必要な「面白さ」というのは、維持が困難となる。つまり、将来にわたって持続し、発展するかどうかは常に不透明だ。多くは、期待よりも早く破綻する結果となる。
⓫大金を注ぎ込むほど、より大きな「面白さ」が手に入るが、しかし、金額に比例して「面白さ」が増えるわけでもない。これは、どんな商品にもいえる法則だが、高くなるほど、価値の増分は小さくなる。すなわち、頭打ちになる。高い商品に金を使うのは、その僅かな価値の差に満足できる精神の持ち主である。
また、その僅かな差でも、他者と比較することで優位性に満足できる人だ。
⓬仕事がない日も、面白くないのはどうしてなのだろう?答はいたって簡単だ。面白いことをしないから、面白くないのである。一方、面白い生活をしている人は、仕事もしているが、暇を惜しんで面白いことをしようとしている。仕事も一所懸命こなすが、それ以上に自分の楽しみに力を入れ、熱中している。
ほぼ例外なくそうしていることが観察できる。このような結果から、仕事があるから面白いことができない、というのは間違った認識、思い込みである可能性が高いように思えるが、いかがだろうか?
⓭アウトプットする「面白さ」は、インプットする「面白さ」の何十倍も大きい。
⓮生きる希望となるものは、やはり「面白さ」である。そのことを覚えておこう。辛いときこそ、「面白さ」を探すことだ。それを忘れないように。「面白さ」は、最初は小さい。しかし、育てることで大きくなる。「面白い」と思えるものを大事にして、磨きをかけることが、これまた「面白い」のである。
何度か繰り返しているが、「面白さ」は、探しても、ずばり見つかるようなものではなく、自分で作るものである。どこかに落ちているのは、「面白そうな」種でしかない。それを拾って、自分の畑に蒔いて世話をしよう。幾つか種を蒔いた方が良い。全部がものになるとはかぎらないからだ。
⓯常に気をつけていることは、自分以外の人の「面白さ」を素直に受け取る感受性である。「面白いな」と思う積極的な気持ちが大切である。「面白くないな」と思うのは、はっきりいって損だ。隅々まで探して、「面白さ」を見つける姿勢を、いつも持っていること。それが、「面白い」生き方の基本だ、と思う。
【実践】3個の行動ポイント
✅「面白さ」を見つける姿勢を、いつも持つ!
✅「面白そうな」種を育てる!
✅アウトプットを増やす!
ひと言まとめ
「面白い」生き方をするコツは、自分が「面白い」ことを思いつくこと!
書籍情報
【書籍名】面白いとは何か? 面白く生きるには?
【著者名】森博嗣
【出版社】ワニブックス
【出版日】2019/9/10
【オススメ度】★★★☆☆
【頁 数】180ページ
【目 次】
はじめに
「面白い」はよく使う言葉だ
「可笑しい」という意味で使う場合
「夢中になれる」という意味で使う場合
それ以外に「面白い」を使う場合
曲折した「面白さ」もある
「面白さ」は、会議からは生まれない
アートとエンタテインメントの違い
「面白い」という機能の曖昧さ
「才能」とは何か?
「面白さ」の設計図が描けるか?
「面白さ」は、偶発的なものか?
本書の内容について
僕自身について
今という時代について
具体的にではなく抽象的に
第一章「面白い」にもいろいろある
「面白い」と感じる人間が凄い
たまたま作家になってしまった
ミステリィを選んだ理由
ミステリィの次に来る壁
ユーザの反応が見える時代になった
「面白さ」は集計できるか?
評価点が高いものほど売れない?
最近流行の「面白さ」は「共感」
みんなが「面白」ければ「面白い」
「共感」重視で「面白さ」を見失う
「お涙頂戴」が多すぎないか?
「新しい」ものは「面白い」
計算で生み出せない「面白さ」
「面白い」と感じる好奇心
可能性や成長の「面白さ」
動物は、未来を予測する
「意外性」の「面白さ」は知性による「
思いどおり」か「思いのほか」か?
ぎりぎりで「意外」なものが「面白い」
「突飛」の「面白さ」
「面白さ」の対象はさまざま
「面白さ」は最終的には満足を導く
「面白さ」は自由を目指している
第二章「可笑しい」という「面白さ」
「可笑しい」から「面白い」
「可笑しさ」の条件
「いないいないばあ」は何故「可笑しい」のか
慣れてしまうと、「可笑しさ」が消える
笑わせることは難しい
「可笑しさ」は人のイメージになる
「可笑しさ」を作る二つの方法
現実の「可笑しさ」を一般化する
「可笑しさ」の手応えを確かめるには
「ユーモア」という「可笑しさ」
「読みやすい」が大前提となった
「可笑しさ」に共通する緊張と解放
適度な「ズレ」が「可笑しさ」の条件
「可笑しさ」は、常に修正が必要
第三章「興味深い」という「面白さ」
「楽しい」という「面白さ」
「ほのぼの」という「面白さ」
慕情とノスタルジィ
「アクション」という「面白さ」
「動画」が普通になった
「アクション」の「スピード」
「アクション」の「加速度」
「アクション」の「アイデア」
「面白いアクション」とは?
「興味深い」という「面白さ」
「設定」の「面白さ」
「展開」の「面白さ」
「面白さ」を維持するには?
大当たりしたものほど早く衰退する
「考える」「知る」という「面白さ」
「知る」とは、「知らない」ことに気づくこと
「研究」は、究極の「面白さ」
あくまでも「面白さ」は自分で作るもの
「気づく」という「面白さ」
反社会的な「面白さ」も「役に立つ」という「面白さ」
「面白さ」は元気の源
第四章「面白い」について答える
「面白い」についてのインタビュー
【一般的な質問】
Q「森さんが考える『面白いもの・こと』ベスト7は?」
Q「今までの人生で『面白かったもの・こと』ベスト7は?」
Q「森さんが考える『面白く生きるコツ』は?」
【現在についての質問】
Q「森さんは今、何をしているときが一番『面白い』でしょうか?」
Q「今世の中に足りていない『面白さ』とは何でしょうか?」
【「面白さ」の種類や定義について】
Q「面白い、愉快、楽しい、に違いはありますか?」
Q「『面白い』はいくつのカテゴリィに分類できますか?」
Q「面白さを『作る』ことと『享受』することについては、いかがですか?」
【面白く生きることについて】
Q「人生に『面白さ』が必要な理由は?」
Q「生きるのが面白くなる考え方、視点はありますか?」
Q「世の中を、面白く変えて良いとしたら、どうしますか?」
Q「好きに天国を作って良いとしたら、何から作りますか?」
【エンタテインメントについて】
Q「今まで読んだ本や観た映画で、『面白さ』が際立っていたものは?」
【人生の悩みへの回答】
Q「『つまらない』はどうしたらなくなるでしょうか?」
Q「『生き辛さ』はどうしたらなくなるでしょうか?」
Q「周りの人から『面白い人』と思われるためにはどうすれば良いですか?」
Q「面白く生きられていない人に共通するものは何ですか?」
Q「生きるうえで最低限必要な『面白さ』とは?」
Q「森さんが死ぬまえにやっておきたい『面白い』ことは?」
Q「面白く生きるうえで、一番大切なことは何でしょうか?」
第五章「生きる」ことは、「面白い」のか?
面白い人生は、みんなのテーマ
仕事の面白さとは?
仕事で褒められたい若者たち
「面白くない」から仕事を辞める
「面白い人生」と「幸せ」は同じ
人生の満足度は世代によって違う
大人になると、幸せを見失う?
他者がいないと生まれない「面白さ」
「一人の面白さ」が本物
他者に依存した「面白さ」は持続しない
歳を取るほど孤独になる原則
「孤独」から生まれる「面白さ」もある
「孤独の面白さ」こそ将来有望だ
生きるとは、面白さを探す旅
第六章「面白さ」は社会に満ちているのか?
趣味の充実のために、小説を書いた
社会貢献より自己満足なのか?
「社会のために尽くせ」という教え
集団への貢献は既に前時代的
個人の満足が正義になった
「面白さ」が大量生産された時代
量産化された「面白さ」の価値
「面白さ」が市場に行き渡るとき
「面白さ」は古くなるのか?
「面白さ」いっぱいの楽しい社会とは?
仕事があるから、「面白い」ことができない?
若者は何故「面白い」と感じないのか?
手に入れにくいものほど「面白い」と感じる
「面白さ」の条件は簡単に得られないこと
「面白さ」の理由は、達成感にある
「マイナな面白さ」を目指す方向性
「キットの面白さ」を目指す方向性
与えられた「面白さ」では満足できない
第七章「面白く」生きるにはどうすれば良いか?
「面白さ」はアウトプットにある
アウトプットをアシストする商品
アウトプットの「面白さ」の広がり
アウトプットが多すぎてインプット不足に
身近な指導者に従う習性
「面白さ」を求めるあまり、炎上する
ネットは実は「恐ろしい」
流行の「面白さ」はいずれ廃れる
ネットのアウトプット専用アプリ
リアルでのアウトプットへシフトする
若者のアウトプット能力は高まっている
アウトプットしたい人が多すぎる時代
第八章「面白さ」さえあれば孤独でも良い
「寂しい」がマイナスの意味になってしまった
「孤高」こそ、現代人が注目すべきもの
「人情」や「絆」はマイナとなった
現代人は、基本的に一人で生きている
「寂しい」から「面白くない」のではない
外部に発散しない「面白さ」が本物
「退職したら好きなことをしよう」と思っていても
一人で楽しめる趣味は「面白さ」が約束されている
楽しみがない人は、今から種を蒔こう
年寄りはアウトプットに注意しよう
「面白さ」を探すことを忘れないように
「面白い」人生を全うした人たち
第九章「面白さ」の条件とは
「面白さ」のファクタと構造
「面白さ」の評価は直感的なものになる
アートとエンタテインメントの「面白さ」の違い
エンタテインメントではバランス感覚が要求される
マイナスを排除しても「面白く」はならない
マイナ路線がメジャになるという矛盾
「小さな新しさ」を探すしかない
発明の手法から「面白さ」作りを学ぶ
苦労を讃える「面白い」もある
発想が凄い「面白さ」は天才的
計算的「面白さ」と発想的「面白さ」
自作が「本当に面白いのか」という不安の壁
他者に認めてもらわなければ意味がない?
「面白さ」の競争は厳しい
「宣伝してもらえないから売れない」は間違い
「面白さ」の指標は、「どれだけ売れたか」
「新しい面白さ」はゼロから作り出すしかない?
抽象的な「面白さ」を素材にする
「面白さ」を積極的に感じようとする姿勢
おわりに
父が描いた奇妙な絵
展開された「面白さ」
「突き放し」の教育?
工作少年の日々
勉強が「面白い」と初めて感じたとき
「仕事」というものを意識したとき
「面白さ」の実現のため、バイトをすることに
「面白さ」のために邁進する日々
森の中の静かな生活
夢と希望よりも、計画と作業を